JOURNAL

戦後フランスの家具デザインの礎を築いたRoger Landault(ロジェ・ランドー)と新入荷の椅子

戦後フランスの家具デザインの礎を築いたRoger Landault(ロジェ・ランドー)と新入荷の椅子

 

 

この度Archèologie Studioに戦後フランスの家具デザインの1つである「リコンストラクションスタイル/commission du meuble de France」を築いた家具デザイナーRoger Landault(ロジェ・ランドー)が手掛けた貴重な椅子が入荷致しました。今日は偉大なデザイナーについてご紹介致します。

 

1919年にフランスで生まれたRoger Landault(ロジェ・ランドー/1919-1983)はパリの応用美術学校で学びました。第二次世界大戦後の1940年代中期から装飾家(デコレーター)として頭角を現しフランスにおけるモダニズムの若い世代を代表する1人となりました。

  

建築家兼デザイナーのエティエンヌ・コールマン(1923–1939)によって設立され、ディレクションされたパリのルーブル美術館の室内装飾部門には歴代の優秀なデザイナーが採用されていましたが、ロジェ・ランドーも1945年から数年間この部門でデザインの責任者を務めていました。1940年代には彼の装飾デザインや家具作品は多くの芸術サロンや国際展示会で高い評価を獲得し、徐々に家具デザイナーとしてのキャリアに移行していきます。

  

戦争直後1945年〜のルネ・ガブリエルによる「被災者のための緊急用家具 シリーズ」や再建/復興という意味の「リコンストラクションスタイル/commission du meuble de France」の家具は有名ですが、フランス国内では第二次世界大戦後の被災地復興が急がれ、建物が大量に建てられる潮流の中で質が高くシンプルでモダンな家具が大量に求められる需要に見事に順応したのがこの時代のロジェ・ランドーの手腕でもありました。

  

堅牢で合理的、生地と本体の組み合わせの選択可能、取り外し可能、運搬可能(あるいは変形可能)、経済的な観点でも大量生産家具の研究をしつくしていたロジェ・ランドーだからこそ時代に適応したデザインを生み出せた大きな要因となっていました。

  

ロジェ・ランドーはフランスの家具メーカーABC社と協業し、1950年代から高級家具のデザインと製造を始めました。様々な住宅や団地や施設で、製作コストや販売コストの合理性を備えたロジェ・ランドーの設計によるシンプルな構造の家具の良さが認められ、フランスの省庁の案件を含め多くのプロジェクトでロジェ・ランドーの家具が採用されることとなりました。

  

工業生産の需要と、美しいだけではなく実用的でなければならないモダニズムの原則を持つ彼の美学が見事に調和し、フランスの家具の工業化とロジェ・ランドーのデザインによる問題解決力が時代と適合した大きな成功例となりました。被災者のための多くのモデルを設計したロジェ・ランドーの存在感はフランスの復興期、再建期に最も際立っていました。

 

1951年に質の高い工業家具を手がけるデザイナーを評するために設立された「ルネ・ガブリエル賞(当時のフランスで最も権威のあるデザイン賞)」についても「Dakar(ダカール)」(1958年)と名づけられた家具作品(製作:ABC社)で受賞しており、名実共にマルセル・ガスコアン、ピエール・ガーリッシュ、ピエール・ポランなどと並びフランス最高峰のデザイナーとして認められていたロジェ・ランドーは1950年代以降も1970年代にかけて様々な家具メーカーと協業しながら時間とともに進化を続け、後世のデザイナーに影響を与える数々の名作を生み出しました。

 

今日、彼の手掛けた家具作品は欧州の優れたギャラリーで扱われ、世界中の特別なモダニストから愛用され高い評価を獲得しています。

 

この度Archèologie StudioにRoger Landault(ロジェ・ランドー)の大変貴重な椅子4脚セットが入荷致しました。座り心地も素晴らしく、生涯において愛用できるダイニングチェアをお探しだった方にお勧めモデルとなります。貴重なフレンチミッドセンチュリーのデザイナーズ家具にご興味のある方は下記のページよりご覧ください。

  

→Pair of Roger Landault Chair 6517

https://shop.archeologie.jp/collections/all/products/set-of-four-roger-landault-chair-6517