ル・コルビジェやシャルロット・ペリアンの建築プロジェクトでもインテリア設備として度々採用されていた家具メーカー「Pascal Raffier Vannerie/パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」をご存知でしょうか。
「パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」の中には、コルビジェが信頼し愛用していたことからことから「コルビジェチェア」と名付けられているアームチェアも生まれています。
さらにアルヴァ・アアルトの最高建築作品マイレア邸(1938-1939年建設)では施主のグリクセン夫妻(マイル・グリクセンはアルテックの創業メンバーの1人)が愛用しており、アアルトなど北欧のモダニストにも親しまれていました。
チャールズ・イームズもこのメーカーの家具をインテリアで採用しており日本ではあまり知られていませんが、近代では世界の名だたる一部の建築家やデザイナーたちにいかに親しまれていた「パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」に迫ります。
フランスのリムーザン地方でパスカル・ラフィエが創業した家具メーカー「Pascal Raffier Vannerie/パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」はこの地方に伝わる伝統技術が失われないよう5世代にわたり家族経営でこれを継承し栗と籐を使った家具やバスケットを製造しています。
リムーザン地方には古くからあるワイン作りのための葡萄園や栗の雑木林などの農業的な生産背景と自然が豊富にあったことから、この町では地元の木材を使った樽やバスケット作りが栄えていました。
家族の経営の小さなメーカー「パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」では枝の収穫、家具のフレーム作り、伝統的な籠編み細工など全て職人の手作業を経て家具やバスケットが作られています。家具の骨組みとなるシートとバックには栗の木が採用され、編み込み部分にはワイン樽の製造で残った素材として、ラタンが採用されています。
栗の木はオークと同格の耐久性を誇り、耐火性にも優れ、さらに軽いため持ち運びにもとても便利な素材です。樹齢数百年のラタンや栗の木を採用して同じ木から様々な表情の素材をカットしてそれを組み合わせてシンプルで素朴な装飾を生み出す類稀なアイデアと伝統的な技術の組み合わせが特徴的で、普遍性の高い技術力とフランスの伝統的なアプローチも魅力です。この技術と方法はリムーザンで何世紀にもわたって受け継がれてきたものを世界で唯一継承し、工芸品の域にまで高めた「パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」だけが為し得たものとなります。100年以上前から全く変わらないデザインのモデルも存在しています。
20世紀初頭に栄えていたとされる栗の木に関連するメーカーや仕事や職人の数も現代では減少の一途を辿っています。1960年代以降の安価なプロダクトの大量生産やプラスチック革命によって打撃を受けた産業ですが、現在「パスカル・ラフィエ・ヴァヌリー社」を引き継ぐマルティーヌ・ラフィエは「必要な分だの原材料を探します。知性と職人の技術を守るとともに地元の生態を考慮したビジネスを考えています。」と強い信念を持って今尚フランスの美しい伝統家具の製造に取り組んでいます。小さな規模で伝統を永く受け継いでいく、これも1つの持続可能な職人や技術の美しい在り方なのではないでしょうか。
この度Archèologie Studioでは、上記ご紹介したメーカーが手掛けた「テーブルセット」が入荷しました。天板の編み方が特徴的な柔らかな印象のテーブルとチェアです。
創業者のパスカル・ラフィエの理念が今尚受け継がれ、コルビジェ、アアルト、イームズなど世界の建築家やデザイナーに愛されたメーカーにご興味のある方、建築愛好家の方は下記のページよりご覧ください。
>>> Round Cafe Table and Chair Set for Pascal Raffier Vannerie, France