JOURNAL

Charles Dudouyt (チャールズ・ドュドイ)が実現した民芸と工芸とモダンの融合

Charles Dudouyt (チャールズ・ドュドイ)が実現した民芸と工芸とモダンの融合

フランスで活躍したデザイナーCharles Dudouyt (チャールズ・ドュドイ/1885-1946)をご存知でしょうか。(※フランス読み/シャルル・ドュドイ)




この度当Eストアにチャールズ・ドュドイの作品が1点のみ入荷したタイミングに伴いまして、このデザイナーについて触れて参ります。



ドュドイについては生前の資料がほとんど残されていないため、欧米のギャラリーの間でもほとんど研究が進んでいない家具デザイナーですが、近年彼の子孫の協力や発信があり、モダニストの中で評価を高めておりようやくその輪郭のみうっすらと見えてきました。それでもまだまだ情報は乏しく、日本での認知度も低いことと思います。



ドュドイは戦前の1910年から1930年代にかけてフランスで活躍した家具デザイナーで、当時流行していたアールデコ期様式一辺倒の時代に囚われずアール・デコを上手くデザインに取り入れながら、民芸品から着想を得た素朴な素材使いに対してモダンデザインを融合した類まれなセンスと構成力を備えていました。



彼の芸術は様々な国や時代の様式から着想を得ているものの、実現した作品のスタイルは完全にオリジナルなものであり、批評家やオークション会社やコレクターが分類したり、カテゴライズすることは決してできませんでした。彼は時代の傾向に影響されることなく、シンプルかつ強力な方法で家具作品を作り続けていました。美しい無垢のオーク材を多用し、厳密に製造され、完璧な家具のみを設計していた彼の作品ですが、彼本来の理想と反し当時から一部の富裕層や、少数のインテリア上級者にしか受け入れられていなかったようです。時代の1930年代が厳格なインターナショナルデザインに舵を切っていたためです。



流行の息吹を感じながらも、彼はあくまでハンドクラフト、自然素材の活用を軸にしたデザインアプローチ、モダンデザインと自然素材を用いた「素朴な装飾」を見事に融合させたものでした。近代の巨匠であったコルビュジエ、ミース、グロピウスなどの提唱したインターナショナルスタイルとも全く異なる世界観を放ち、イデオロギーがむしろ保守的で反時代的であったため、時代の本流にこそ乗りませんでしたが、商業的、経済的な要請は後回しとし、贅沢なクオリティが少量生産で実現された家具作品は現代においてようやく中立的客観的な評価を得て研究が進められています。当時の彼にとってフランス版のアーツ&クラフツを再び訴え、工業生産の代替アプローチを打ち出すことが切なる想いだったのです。




1920−1930年代から潮流を得た厳格な機能主義、インターナショナルデザインの制約から、ドュドイは早くも1930年代にはこの潮流からの開放を目指した前衛的なデザインを提唱し、有機的な芸術表現を実現していました。彼の作品の一部にはポストモダニズムを思わせるモデルも点在しており、現代のモダニストたちを驚かせています。




工芸品に達する彼のもの作りに対する精神、そして「素朴で創造的なモダン」とも呼ぶべき彼のスタイルは同時代の「ジャン・ロワイエ」「ミシェル・デュフェ」「フランシス・ジョルダン」「アレクサンドル・ノル」に多大な影響を与え、また後のフランスの復興期のデザイナー「ルネ・ガブリエル」「ピエール・シャポー」「シャルロット・ペリアン」「ピエール=ゴーティエ・ディレイ」などのモダンな自然素材にも強い影響を与えることになりました。彼の実現した民芸とモダンを融合させたスタイルは、昨今地球環境や自然素材への回帰を訴えるデザイナーたちの憧れの存在となっています。



本物のクオリティと実用性と頑丈さ、便利さ、素朴さ、伝統とモダンな革新、その全てを追求し融合させるアイデアと力強い思想を持っていた彼の貴重な作品を是非インテリアに加えてお楽しみください。



この度Archèologie Studioでは、上記ご紹介したチャールズ・ドュドイがデザインしたヴィンテージ家具作品が1点のみ入荷しました。ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。

https://shop.archeologie.jp/collections/all/products/charles-dudouyt-dining-chair